8Kに対応したハイエンドAVプリアンプ「AV8805A」登場


マランツのフラッグシップAVプリアンプ「AV8805」が、ついに8K対応した「AV8805A」へと進化しました。あわせてAV8805のユーザーの方のために「有償HDMI 8Kアップグレードサービス」もスタート。今回はAV8805Aのポイントと製品コンセプトについて国内営業本部 マーケティング担当 高山健一に話を聞きました。


マランツのハイエンドAVプリアンプ「AV8805」が8Kに対応


●まず基本的なところからおうかがいします。AV8805とAV8805Aの違いはなんでしょうか。

高山:8Kへの対応です。正確に言えば8Kを含めたHDMI2.1に対応しました。AV8805Aは1入力/2出力のHDMI端子で、8K/60Hzや4K/120Hz映像信号のパススルーなどのHDMI 2.1の新機能をサポートしています。

●AV8805とAV8805Aで、音質的には変わりはないですか。

高山:はい。今回は音質ではなく、HDMI2.1への対応がメインの仕様変更です。また旧モデルのAV8805をお持ちの方は有償ではありますが、基板交換で最新のモデルへとアップグレードできます。


AVプリアンプ


AV8805 有償HDMI 8Kアップグレードサービスの詳細はこちら


●HDMI2.1への対応で、具体的にはどんなことが可能になるのでしょうか。

高山:8Kのコンテンツをパススルーできるようになります。ただ現状ですとまだ8Kのコンテンツが少ないので将来的な話になるかもしれません。むしろHDMI2.1のもう一つのポイントである4K/120Hzのほうが、PS5やX-boxなどのコンテンツが増えてくる可能性があります。またゲーム向け最新スペックのVRR、QMS、QFTや、映像のダイナミックレンジ拡張技術のHDR10+やDynamic HDRなど様々なHDMI2.1対応スペックに対応しています。


国内営業本部 マーケティング担当 高山健一


AV8805Aリアパネル


マランツがセパレートアンプ方式のAVアンプにこだわる理由


●8K以外のAV8805Aのコンセプトについて、お話を聞かせください。

高山:やはりAV8805Aは、なんといってもプリアンプとパワーアンプが別体となっているセパレートアンプ構成であることが最大のコンセプトです。セパレートアンプ構成は一部の高級モデルのみに採用されており、AVアンプのマーケットでは少数派ではありますが、やはりセパレートアンプにしかできないことがあります。マランツのフラッグシップモデルがその構成を採用しているのは最良の音を追求した結果であり、AV8805Aには、そうでなければ実現できないことが凝縮されているのです。


パワーアンプMM8077(左)+AVプリアンプAV8805Aのセパレートアンプ構成


●セパレートアンプ構成にした背景を教えてください。

高山:一般にセパレートアンプのメリットとして挙げられるのは、プリアンプとパワーアンプを柔軟に組み替えられる点です。特にAVアンプは最新フォーマットや機能が頻繁に登場しますから、パワーアンプは同じものを使い続けつつ、プリアンプだけを買い換えていく、ということもできるわけです。確かにそれもメリットではありますが、マランツとしては、それらは副次的な要素だと捉えています。
マランツのサウンドフィロソフィーは「In pursuit of purity(純粋さの追求)」というもので、コンテンツに敬意を払い、それをありのままの音で再生することを目指しています。2000年代後半のことですが、AVコンテンツもBlu-rayの発売と時を同じくしてロスレスオーディオフォーマットへと進化しました。近年までつづいているマランツのセパレートAVアンプとその設計思想は、そういったコンテンツの進化と歩調をそろえる形で実現したもので、これは2008年に発売したAV8003というモデルから始まっています。そこからAV8801、AV8802と世代を重ね、今回のAV8805Aに到達しています。


発表会資料より


セパレート型ならではの巨大な電源回路を搭載したAV8805A


●セパレート型を採用しているAV8805Aの特長を、いくつか具体的に挙げていただけますか。

高山:まずはなんといっても電源です。「In pursuit of purity(純粋さの追求)」というマランツのコンセプトはHi-FiアンプでもAVアンプでも共通ですが、それぞれ扱う音源は違いますよね、Hi-Fiであれば主に音楽を再生しますが、AVアンプでは映画などのコンテンツを再生する比率が高くなります。
音楽でもかなり低音が入っているソースはありますが、それでも映画の中の爆発音やロケットの打ち上げシーンなどで使われる圧倒的な重低音はものすごいエネルギーが入力されるわけで、音楽の重低音とは性質が異なります。しかもそれがステレオではなくマルチチャンネルにドカンと入ってくる。高音域においても、銃撃戦などでは高域を含んだ銃声が前後左右に飛び交って、非常に激しい音や移動感がフルでチャンネル駆動することがあります。そういったタフな再生環境を考えると、電源が強力であるメリットは、AVアンプのほうが大きいだろう、というのがマランツの考えです。


AV8805A筐体内部写真


こちらがAV8805Aの内部です。パッと見るとプリアンプに見えないですよね。ご覧の通り、プリメインアンプで採用されるような巨大なトロイダルトランスとブロックコンデンサーが使われています。しかし、一体型AVアンプの筐体サイズではプリアンプのためにこの規模の電源回路を搭載することは不可能です。

そしてこちらがマランツオリジナルの高速アンプモジュール「HDAM®-SA」による13.2chの電流帰還型回路を搭載した基板です。ご覧のようにチャンネルごとに独立した15枚の基板を搭載しています。プリの段階でチャンネルを独立させることでクロストークを最小限に抑えていますが、これもセパレート構成だからこそ実現できる回路構成で、一体型アンプではこのような基盤を設置するスペースはありません。
また、もう一つ加えるのであれば、AVアンプは非常に多くのデジタル基板を持っていますが、プリアンプにデジタル系の基板をすべて入れてしまうことで、デジタル回路をパワーアンプから切り離せます。これもノイズ対策として大きなメリットをもたらします。


AV8805Aはクリアで見通しのいい、広大な音空間を再生


●AV8805からAV8805Aへのモデルチェンジまで3年ほどの時間がありましたが、これまでにAV8805はどんな評価を得てきたのでしょうか。

高山:AV8805はありがたいことにともて高い評価をいただきました。マランツのAVアンプはもともと空間が広いと言われてきたのですが、それでも空間の先に壁はありました。ところがAV8805で壁がついに消えて、見渡す限りの制限のない空間となった、そのような評価をいただきました。 没入感は非常に深く、クリアで見通しのいい、なんといいますか自然に感じられる音空間です。映画のシーンの中に自分がいて、その空間が四方に際限なく広がっているように感じていただけると思います。

●大きな技術的な進展があったのでしょうか。

高山:何か1つの大きな技術がそれを可能にしたのではなく、多くの地道な積み上げで実現したことだと考えています。AVアンプの開発って、非常に規模が大きいんです。ですから全部を一気に変えることは難しく、世代ごとにバージョンアップしながら、少しずついろんな部分を変えていくわけです。AV8805Aの場合は、これらが一巡し、数千点にも及ぶAVプリアンプ全体のパーツや回路のフルメンテナンスが仕上がった、というイメージです。それによってトータルの完成度が格段に上がりました。2008年から積み上げてきたセパレート型AVアンプの8000シリーズですが、その帰結点とも言えるアンプに仕上がったと自負しています。

●本日はありがとうございました。

マランツのAVアンプのフラッグシップモデルAV8805Aには、セパレート型でしか実現できないフィロソフィーが込められています。そのフィロソフィーで徹底的に磨き上げられたサウンドをぜひ店頭でご試聴いただきたいと思います。

2021年6月24日